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【2019/11】新型タントとスペーシアをスズキマイスターの主が徹底比較vol.03『使い勝手編』

前回の記事『内装編』では、かなり新型タントに辛辣な内容となってしまいましたが、まぁ質感は誰が見ても先代にすら劣っていましたし、どう見てもコストカットが激しい内容で、この評価もやむを得ないなと思っていますが…おそらく!新型タントの本気はこの「使い勝手」に集約されているのかと思います!

最初に言っておきますが、この新型タントは明確にターゲットを絞ってきています。

この「使い勝手編」にて、それが顕著に表された部分ではありますので、これを読んでおられる方はそこに注目しながら読み進めていただければと思います!

□ シートアレンジ編

新型タントの一番の売りであります「ミラクルウォークスルーパッケージ」。運転席から操作する場合は、2枚目の写真にある「スライドのONスイッチ」を押して、後席までのスライド機能を解除する必要があります。

後席から操作する場合は、3枚目写真にある、同じく「解除スイッチ」を押した後、レバー操作でスライドができるようになります。

運転席を後席端ギリギリまで下げる事で運転席と助手席の間に隙間ができ、そこを使って後席と運転席を行き来ができるようになります。そして、ミラクルオープンドアを組み合わせる事で、スライドドアの大きな開口部から乗り、運転席に着座できるようになると使い勝手の良さが、ミラクルウォークスルーパッケージの最大の特長と言えるでしょう。


□ 乗り降り編

また、このウォークスルーでの乗り降りに非常に便利なサポート装備品が、それぞれオプションで設定されています。

このように、ウォークスルーとしての使い勝手はもとより、乗り降りに対しても配慮が行き届いているのが、新型タントの素晴らしい部分かと思われます。


□ ターゲットは?

オートステップはまだしも、ラクスマグリップに関しましては明確に高齢者を意識しているのが分かります。

そう、この新型タントのターゲットは、高齢者です

それは、これら乗り降り補助のアイテムからのみ導かれるものではなく、外装編や内装編で触れた

〇シンプルになったフロントフェイス

〇ブラックではなくグレーになったインテリアカラー

などから、これらが若者ではなく、高齢者に好まれる内容だという事から導かれる答えです。

スペーシアやN-BOXはやはり子育て世代や若者向けに作られている感がフロントフェイスや豪華なインテリアデザインから感じ取れる部分ではありますが、新型タントは軽スーパーハイトワゴンとして他社競合車種から少しターゲットをずらしてきた、という事でしょう。


軽自動車の装備や価格が跳ね上がってきたという事もあり、普通車からのダウンサイジング需要も高まってきた背景からも、高齢者向けに軽スーパーハイトワゴンを造るというのはあながち間違った考えではないでしょう。

背が高く、ヒップポイントも上げやすいスーパーハイトワゴンは乗り降りに有利ですし、スライドドアも採用で開口部を大きくできるのも優れたポントです。

新型タントの登場によって、また軽スーパーハイトワゴン市場は活性化し、さらに台数を伸ばす事が予想されますね!


□ スペーシアと比較!

乗り降りに関しましては、これはもう新型タントの圧勝!ミラクルウォークスルーパッケージに敵うものではないでしょう。

しかし、例えば荷室の使い勝手を見てみるとこの評価は逆転します。

↓ これが新型タントの荷室

↓ これがスペーシア

荷室を倒した時の段差はスペーシアの方が低く抑えられていますし、何よりスペーシアには「荷室から後席のスライドを操作できるレバー」が付いています。

しかし、新型タントにそれはなく、荷室に物を積み込む際、長さが足りずちょっと荷室を広くしたいな~という時新型タントは、後席足元のレバーで操作する必要があるという事です。

その後席スライドレバーも、スペーシアと比べると操作しづらく…

↓ 新型タント

↓ スペーシア

単純な比較としては、

〇乗り降りに関しては新型タント

〇荷室や後席の使い勝手はスペーシア

という言い方ができるでしょう。

また、⇑で紹介しました乗り降り補助のディーラーオプションの金額の高さも、地味にネックなポイントです。

特にミラクルオートステップは、確かに便利ではありますがおいそれと手を出しやすい金額ではなく、介護用としてはっきりと用途が決まっているような使い方で新型タントを購入するケースとかでもない限り、『ついでに付けとく』という感じではないですね。


ミラクルウォークスルーパッケージがもたらす乗り降りの利便性は計り知れないですが、その分犠牲にしたものは大きい、というのが第一の感想です。

クルマとしての素性はどのように違うのか、にも興味が尽きないですね!