2018年7月に、実に20年振りとなるフルモデルチェンジを行い、4代目となったジムニーですが、発売即大ヒットとなりました。
スズキは2018年の燃費測定に関する不正問題を理由にカーオブザイヤーを辞退しましたが、もしそれが無ければ間違いなく2018年のカーオブザイヤーはジムニーが受賞していたことでしょう!
そんな一般ユーザーだけでなく、専門家すらも認めるジムニーですが、ジムニーがフルモデルチェンジしてもうすぐ半年、ここいらでもう一度、いかにジムニーがスゴイクルマかという事を
「エステラオ流に」
おさらいしてみようではありませんか!このジムニーを購入した方、納車を首を長くして待っている方、そして購入しようとしている方、それぞれの皆様がヨダレを垂らして喜ぶ記事になると思いますよ←(自分で言っている)
ジムニー関係のweb記事がごまんとある中、この記事を目に止めてください本当にありがとうございます!!
※ 最初の項目を書いている時点で「あ…これ分けたとしていくつになるんやろ(トオイメ)」となったので細かく分けていきます。最初は「ジムニーを出せた奇跡」からです。どうぞ。
◎そもそも、このカタチ/メカニズムで存在していること自体スゴイ
2018年現在、発売している軽自動車で、ここまでカクカクなクルマはそう多くありません。ダイハツのウェイクや各種商用バンくらいのもんです。他はみーんなカドが丸くて燃費の良さそうなナリをしていますね。(写真は商用ではないですが)
これには、実は大きな理由があります。僕も試乗動画の中でお話しているのですが ↓
「CAFE方式」
と呼ばれる、日本でも2020年に採用される新しい燃費基準がミソでして。
これは「企業別平均燃費基準」と言いまして、ざっくりと説明しますと
「自動車企業毎に異なる燃費基準値と割り当てられ、自社製品の平均燃費がそれをクリアできたかどうか?」という指標になります。
アメリカやヨーロッパ、そして中国ではすでにこの「CAFE方式」が採用されており、これはすでに国際基準となっているやり方です。
つまり、販売されているクルマの燃費が悪いと → 企業で販売されている全ての平均燃費の数値(企業平均燃費と言います)が悪くなり → 企業別燃費基準値が達成できない と、こういう事になります。
どうしてこのような基準が設けられる必要があるのか?今までの平均燃費の算出方法と比べてちょっと見てみましょう。
○ 2台のクルマを持っているとします。
A … 燃費が5km/L
B … 燃費が25km/L
今までの平均燃費の算出方法は、(5 + 25) / 2 これで平均燃費は
15.0km/L
こういうカタチになります。しかし、これで本当に良いのか?
新基準の算出方法では、例えば月にそれぞれ1,000kmずつ走るとします。ガソリンの消費量は…
A … 200Lの消費
B … 40Lの消費
合計で240Lですね。走行距離は合計で2,000kmだから、
2000 / 240 で平均燃費は
8.3km/L
これが本当の平均燃費なのではないか?というのが新方式の基本的な考えです。
これを「調和平均」と言います。
なぜこのような測定方式が用いられるのかと言いますと、現在のユーザーのクルマにおけるニーズの多様化や、燃費向上技術の多様化が進む一方、クルマの種類によってはせっかくの燃費向上技術が採用できないというケースも多分にあり、本来の全自動車での燃費基準を達成するという前提からは離れていってしまう危惧があったからです。
JC08モード燃費向上のためだけに変速プログラムを替えたり、実際の燃費よりもモード燃費を優先させるような事も多くあったみたいですしね…
新基準では、例えばある特定の車種の燃費は悪いが、他の車種の燃費を良くする事ができるので、それで稼いで大型車の分を補おう…とか企業毎にそういう工夫ができる事が大きなポイントです。
つまり、メーカーの特性を生かしてトータルの「実」燃費の底上げを目指すと。
これには大いに賛成できるところでして、各メーカーが固有の燃費向上技術に特化させることも許容されますし、そういうカタチでの世界的な技術競争力も高まっていくことも期待できます。
さて、ここでジムニーに話を戻しますと、ジムニーは本格クロカンであり、まごうことなき4WDであり、オフローダーです。その本格さは皆の知るところではありますが、本格ゆえにトレードオフとなるものが「燃費」です。
ジムニーのATでは、WLTCモード燃費市街地モードで 11.0km/L という現在の軽自動車ではまぁありえない数値を叩き出すほどですね。
こんなに燃費が悪いジムニーを、本来ならば出せないはずだったんです。
だって燃費がメチャクチャ悪いんですから。
企業内平均燃費が達成できないと晒されちゃうから。
もし、ジムニーを出すなら「カドを丸くして空気抵抗を良くし」「マイルドハイブリッドを搭載、また軽量化して燃費を向上させ」「本格4WDのような重い機構は廃止し、電子制御の性格4WDに簡略化させ」といったような、それはもはやジムニーとは呼べないような4WDで出すしか無かったという状況でした。数年前までは。
しかし、エネチャージが開発され、スズキの作るクルマにマイルドハイブリッドが搭載されるようになり、飛躍的に燃費が向上しました。
その結果、本格オフローダーとして、ジムニーとして一切の妥協をせずに出せるほど、企業内平均燃費が改善される見通しが立ったのです。
つまり、現在の新型ジムニーのカタチがあるのは、
他のスズキ車の貢献あってこそ
の奇跡だったということです。
他のメーカーでは絶対にジムニーを作れない理由がここにあります。
スズキでしか出せなかったジムニー。同じタイミングで軽自動車の燃費が飛躍的に向上したからこそ出せた今のジムニー。
どうです?ジムニーってスゴイクルマでしょ??(笑)